倶舎論と月蔵経の予言⑥

前回より続く。

 空中で「何か」が炸裂する。 その時、大地は激震に見舞われ、被害は炸裂の中心から丁度同心円状の水紋のように四方八方に広がり、城壁は砕け落ち、家屋もことごとく倒壊する。

 こうした被害をもたらす兵器を我々は知っているはずです。
 原水爆、それがコレにあたります。

 実際、これを原爆の予言とする解釈者は少なくありません。 人々の暮らしを脅かすのは戦争だけではなく、異変は日々の食べ物にも及びます。 

『やっと手に入れた食べ物も毒を含むようで、味もなければ栄養もない。 悪疾が次々へと流行する』

 科学合成による人工食糧。
 農薬漬けの農作物。
 添加物漬けのインスタント食品。
 抗生物質で変質させられた養殖魚。
 放射能汚染された食料。

 現代人を取り巻く食糧がいかに病んだものなのかについては、これまでも幾度となくいわれ続けてきました。 しかし状況は悪くなることはっても、良くなることはありません。 そもそも南極の氷からさえ農薬などが検出される今日では、大地や海、そして待機そのものが汚染されていると言えるでしょう。 そんな環境から得られた食べ物のことを、今から約1600年も前に中国にもたらされた経典は、ものの見事に予見しているのです。 さらに末法には自然も狂いだすとあります。


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『太陽と月は光を失い、星の位置が変わる。 白い虹が太陽を貫く凶兆であると、大地は震動し水は涸れ、不時の暴風雨が起こる』

 太陽と月が光を失うというのは、地球の大気に異変が生じ、太陽などから届く光が弱まることを指すのでしょうか? また星の位置が変わると言うのは極のジャンプや、公転道の変化など『月蔵経』は、コレ以上の事は語らない。 それでも、この段落は末法になる地球そのものまでおかしくなることを告げている。 そしてそうなれば必然的に農業生産そのものが成り立たなくなる。

『農作物は成熟せず、打ち続く日照りでわずかばかりの水たまりも干上がり土地はひび割れる。 が使者は後を絶たないが、為政者は、権力争いに終始して、互いに傷つけ合い、損ね合うことしかしない』

 こうしてみてくると「月蔵経」の予言は「倶舎論」などにみられる刀兵、疾疫、飢饉の「小三災」の予言とほとんどが重なりあいます。 にもかかわらず、人々を救うべき仏法は役に立ちません。 人は求道のためにではなく生活のために出家する。 僧となって以降はひたすら名利を追い求め、学問修行せず、惰眠(だみん)を貪る。 経よりも娯楽の雑書を好み、戒律を捨て、女性と戯れ、衣服を着飾り、名利のためには俗塵(ぞくじん)にまみれた営業も厭わない寺が金儲けに奔走(ほんそう)する風潮は現代では当たり前となっています。 水子で脅かし、前世の祟りで人を脅して、金を貪る僧侶や、性的享楽にふける僧侶、土地や株の投機に走る僧侶などは珍しくもありません。 口先だけの法話はするが裏付けとなる行はなく、もとより証などかけらもない。 まさに末法の様相と言えるでしょう。

次に続きます。