ちょっといい話し -天国と地獄の長いはし―

今では体力も落ち旅に出ると言う事もなくなりましたが、
かつては、様々なお寺や神社にお参りに行ってきました。

お坊さんの話を聞いたり、お祓いをしてもらったり、時には不思議な体験もしたものです。
そんな寺院巡りの中、今でも記憶に残り教訓となっている話があります。

あれは30年ほど前、山梨県の本遠寺に旅をした時の話です。
本遠寺とは、1609年(慶長14年)徳川家康の側室・養珠院(お万の方)の帰依を受けた久遠寺22世・日遠が開山となり創建したお寺です。
このお万の方の足跡が残された天井が残されています。
本遠寺本堂.JPG

その日は朝早くから弁当を持ち、昼到着を目指し妻と車で出かけました。
予定通りに昼頃に到着、滞在中住職にはお万の方の足跡の話を始め色々な話を聞きました。
お弁当を食べさせてほしいとお願いしたところ、本堂での食事を許可していただいただけでなく、お茶まで出して貰いました。
そして、その食事に関連する話として聞いた極楽と地獄の話が今でも記憶に残っています。



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ある仏が地獄と天国に住む夫婦2組に美味しい食事を長い箸で食べなさいと言いました。
とても自分では食事が出来ないようなとても長い箸です。

地獄の夫婦は箸を手の取り、すぐに食事をしようとしました。
しかし口に入れる事が出来ません。
何度も挑戦するものの食事は出来ず、仕舞には夫婦喧嘩を始めました。

ところが天国の夫婦は楽しそうに食事をしています。
夫が妻の口に食事を運び、妻は夫の口に食事を運んでいたのです。
お互い助け合いながら食事をしていたそうです。

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一人では出来ない事でお二人がいれば出来る。
そして仲が良ければ食事の食べ方、好きな物も分かると言う話を住職はされました。
今でも記憶に残っており、いつか伝えたいと思っていた話の一つです。

後にこの話は有名な説話だと知りました。
話をする人によって、少々内容に違いはあります。
住職は「お弁当を持って訪れた夫婦」に印象深く残るように話をしてくれたのかもしれません。
この話のテーマは「相手を思いやる心」「助け合う気持ち」にあります。
これは様々な事に通じます。
自分の事だけを考えていては、仕事でも遊びでも上手くいきません。
仕事は得に時代の流れで変化するものです。
食事に関しても、金儲けに重点をおけば、
農薬や保存料を沢山使い、少しでも見栄えする物を沢山作り利益を得ようとします。
農地は農薬に汚染され、健康な土地で育つ作物はほとんど無いと言われます。
その危険に危機感を覚え避けたいとするなら自分で作るしかありません。
農業をしている人は、自分の家族が食べるものは安全であるように分けて作っているのを見た事があります。

自分が、自分だけが、と言うような自己中心的な考えでは、いつかはダメになってしまいます。

農業で言うならば、農薬を使い見栄え良く大量に作っていたとしても、
TPPによる様々な作物の輸入が活発になれば、すぐに取り残されていくことでしょう。

説話はただの物語ではなく人生における大切な教訓が含まれているものです。
「天国の夫婦のような生き方」これを今からでも広めていきたいものです。

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この記事へのコメント

  • エレマ

    ご無沙汰しております
    主様 おカラダはお元気にお過ごしでしょうか
    最近はなかなかお伺いも叶わずにおりますが
    また 伺わせて頂きたいと思っています

    最近は連日 小林麻央さんの容態が報道されていますね
    まだお若いのに 大変なことと思います
    自身に同じことが降りかかった場合に
    果たして気丈にいられるものか… とも…

    「相手を思いやる心」「助け合う気持ち」のお話
    あらためて共感しています
    自身よりもまずは相手を… ということでしょうか
    自分本位な気持ちでは無いつもりですが
    私自身まだまだだなぁ と思ってしまいます内容の話でした
    2016年06月13日 01:00
  • ひろゆき

    お久しぶりです
    こちらは、日々での作業疲れを雨を眺めながら癒す日を送っていました。
    セレマさんもお元気にしているなら幸いです。

    情けは人のために為らずと言うコトワザがあります。
    情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる。
    と言う意味です。

    ここ数年、息子の同級生が季節に応じて我が家を気にかけてくれています。
    彼にしてみれば些細な事かもしれません。
    「ついでだから」「遊びにきているようなもの」と
    我が家の力仕事に手を貸してくれます。
    どんなに救われる事でしょう。
    どうお返しすれば良いのだろうか?と日々お返しを心にとめています。
    年代を超え、そのような優しいやり取りが続いています。

    してもらえば返したくなるものです。
    仕事につなげようと思うなら意識することも必要かもしれません。
    しかしそうでないならば、けして気負う必要等ないと思いますよ。
    2016年06月13日 21:39